みつなか名画シアター ~不朽の名作 いま再び~

更新日:2023年01月20日

2023年1月19日(木曜日)13時00分開映(12時30分開場)                                                        2023年1月20日(金曜日)13時00分開演(13時30分開場)

会場:みつなかホール

令和4年度 優秀映画鑑賞推進事業

 

日本映画の量産時代に登場した監督たちが、喜劇映画のなかで新たな挑戦を試みた秀作をご紹介。

 

みつなか名画シアター

上映プログラム

1月19日(木曜日)

おかしな奴

「おかしな奴」(13時00分開映)
(白黒/シネマスコープ/モノラル/110分)
[1963年 東映(東京)]

監督:沢島忠
脚本:鈴木尚之
撮影:藤井静
照明:原田政重
録音:小松忠之
音楽:佐藤勝
美術:北川弘

出演
渥美清、三田佳子、南田洋子、加藤嘉、清川虹子、田中邦衛、佐藤慶、石山健二郎、十朱久雄、渡辺篤、春風亭柳朝

 

 自ら「珍顔」を名乗り、戦後の落語界で爆発的な人気を誇った風変わりな落語家、三遊亭歌笑(1917~50)の短い人生を描いた東映作品。歌笑を演じた渥美清にとって、この映画は『拝啓天皇陛下様』(1963、野村芳太郎監督)やアフリカを舞台にした『ブワナ・トシの歌』(1965、羽仁進監督)と並んで「寅さん」以前の代表作と言えるだろう。監督の沢島忠は東映の中でも新しい世代に属し、中村錦之助(後に萬屋錦之介)主演の時代劇「一心太助」シリーズ(1958~63)など、フットワークの軽い演出で知られる。実在の歌笑はナンセンスな笑いを得意としたことで知られたが、沢島監督はあえてこの落語家の生涯を、滑稽な笑いばかりでなく、夫婦愛を軸にそこはかとない哀しみを込めて描いている。やがて名作『飢餓海峡』(1964、内田吐夢監督)を執筆することになる脚本家鈴木尚之や、数々の黒澤明作品に音楽を提供した作曲家佐藤勝など、スタッフ陣の豪華さでも注目に値するだろう。


 

喜劇 急行列車

「喜劇 急行列車」(15時05分開映)
(カラー/シネマスコープ/モノラル/90分)
[1967年 東映]

監督:瀬川昌治
脚本:舟橋和郎
撮影:飯村雅彦
照明:元持秀雄
録音:小松忠之
音楽:木下忠司
美術:北川弘

出演
渥美清、佐久間良子、楠トシエ、鈴木やすし、大原麗子、江原真二郎、根岸明美、桜京美、小沢昭一、
三遊亭歌奴、三原葉子

 

 1967年から翌68年にかけて東映で3本が製作された喜劇シリーズの第1作。旧国鉄の協力を得て、東京と九州を結ぶ寝台特急で巻き起こる悲喜こもごもの騒動を描き、おっちょこちょいだが人情味あふれるベテラン車掌を渥美清が好演している。監督はプログラム・ピクチャーの名手・瀬川昌治。本シリーズの成功を機に松竹に招かれ、1968年にフランキー堺主演の『喜劇 大安旅行』を発表。こちらも1972年の『喜劇 快感旅行』まで計11本を数える人気シリーズとなったほか、1970年代以降はテレビで「赤い」シリーズや「スチュワーデス物語」を手掛けたことでも知られる。一方の渥美清は1968年にテレビドラマ「男はつらいよ」そして翌69年の映画化で演じた「フーテンの寅」こと車寅次郎役が絶大な人気を博し、以来26年間に48作を記録する国民的大シリーズに成長してゆく。

 

 

1月20日(金曜日)

吹けば飛ぶよな男だが

「吹けば飛ぶよな男だが」(13時00分開映)
(カラー/シネマスコープ/モノラル/91分)
[1968年 松竹]

脚本・監督:山田洋次
脚本:森崎東
撮影:高羽哲夫
照明:戸井田泰国
録音:小尾幸魚
音楽:山本直純
美術:重田重盛

出演
なべおさみ、緑魔子、犬塚弘、芦屋小雁、佐藤蛾次郎、有島一郎、ミヤコ蝶々、小沢昭一

 

 大阪の街を舞台に、やくざの幹部に憧れるチンピラと九州から出てきた家出娘の恋模様を描いた山田洋次監督の秀作コメディ。最初チンピラの三郎は家出娘花子をだまして金を稼ごうとするが、善意のかたまりのような花子の無垢さに打たれ、やがて心のつながりを感じてゆく。当時、若手コメディアンの成長株であったなべおさみと、一風変わった存在感を放つ女優緑魔子が不器用な「連帯」で結ばれた二人を好演したほか、ミヤコ蝶々、犬塚弘といった助演組、さらには小沢昭一による活弁調の解説もこの作品に独特の彩りを添えている。山田監督は、この作品に込めたのは「アホなチンピラ」のおかしさであると後に述べたが、その一方でほろ苦い結末の描き方も魅力となっている。脚本はほとんど森崎東が執筆しているが、社会の決まり事から外れた世界で生きる人々への共感は、後の「フーテンの寅」像にもつながるだろう。「キネマ旬報」ベストテン第10位。


あゝ軍歌

「あゝ軍歌」(14時45分開映)
(カラー/シネマスコープ/モノラル/89分)
[1970年 松竹]

脚本・監督:前田陽一
脚本:満友敬司
原作:早坂暁
撮影:加藤正幸
照明:佐久間丈彦
録音:平松時夫
音楽:大森盛太郎
美術:芳野尹孝

出演
フランキー堺、財津一郎、倍賞千恵子、北林谷栄、城野ゆき、風間恵美子、大村崑、人見明、上田吉二郎

 

 戦争中、精神障害の真似をしてわざと野戦病院に入り、死を逃れた二人の男は、その後、戦没者をまつる神社へ遺族を案内する怪しげな観光ガイドとして暮らしていた。その男たちのもとへお婆さん、未亡人、少女、ヒッピー風の男が次々と迷い込んでくる奇妙な生活を描いたこの作品は、1960年代以降の松竹喜劇を支えた前田陽一監督の代表作である。そこに息づく屈折した批判精神には師匠の渋谷実監督の影響も垣間見える。その作風について、主演のフランキー堺は、「旅行」シリーズの瀬川昌治監督の「軽喜劇」に対する、前田作品の「重喜劇性」と説明して敬意を表した。劇中の所々に軍歌が挿入されて作品のリズムを築いているが、この映画で「歌」が作品の血肉となっているように、前田監督は歌謡映画にも定評があり、『進め! ジャガーズ 敵前上陸』(1968)などのヒット作を送り出した。

 

 

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入場料

【公演終了】

〈全席自由席〉1日券 500円

  • 就学前のお子様の同伴・入場はお断りいたします。 前売にて完売の場合は、当日券はありませんのでご了承ください。
  • 友の会会員料金は、みつなかホールのみのお取り扱いとなります。
  • ホールには駐車場はありませんので、電車・バスをご利用ください。

みつなかホールは、午前9時から受付開始。

 

友の会優先予約(電話予約のみ):11月5日(土曜日)
一般発売開始:11月12日(土曜日)

主催・特別協力

主催:公益財団法人 川西市文化・スポーツ振興財団、国立映画アーカイブ
特別協力:文化庁、社団法人日本映画製作者連盟、全国興行生活衛生同業組合連合会、株式会社松竹

前売券発売場所

みつなかホール 072-740-1117

ローソンチケット(Lコード:56017)

この記事に関するお問い合わせ先

公益財団法人 川西市文化・スポーツ振興財団
文化部門(みつなかホール)

〒666-0015 川西市小花2丁目7番2号
電話番号:072-740-1117
ファックス:072-755-8200

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